21世紀の店頭を考える−新世紀の読者を掴むためにー
新しい世紀を迎えました。21世紀は電子情報とペーパー情報が交錯し、新たな情報革命が店頭に押し寄せることは必至です。従来の店頭感覚が許されなくなってきました。それは商材、読者、購買パターンが変化しているからです。昨年の顕著な変化は、オンライン書店の急発展でした。外資系、取次系、異業種系、版元連合系、書店系と入り乱れての戦闘が始まりました。今年は正念場元年です。リアル書店としてどう現状を構築するか問われる時です。ネットは読者と書店をつないでくれるシステムです。
今回は盛岡市さわや書店店長 伊藤清彦氏と、季刊誌「本とコンピュータ」編集デスク 河上進氏をお迎えしました。伊藤氏は講談社未来研の講師であり、河上氏はオンライン書店に詳しい方です。両氏にこれからの店売論を伺うことにしました。
≪2月15日≫
■元気な店頭活性術 さわや書店本店 店長 伊藤清彦氏
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講師プロフィール |
昭和29(1954)年、岩手県生まれ。日本社会事業大学中退。
昭和57(1982)年、山下書店本店にパートで入社。のち社員となる。
平成元(1989)年、山下書店町田店店長を務める。
平成3(1991)年、さわや書店入社、翌年より店長。
平成6(1994)年、児童書専門店「モモ」を立ち上げる。
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[講座ダイジェスト]
さわや書店本店は、盛岡市内の商店街の中にある。東京の山下書店をやめ赴任して10年、月商3000万を6000万に持ち上げた、その歩みを語りたい。
当時、一車線の道路をはさみ合い向かいに、同規模の第一書店があった。当社は昭和22年創業だが第一書店は75年の老舗。その店が今月20日で閉店する。53年間、お互いにしのぎを削り、それぞれに違う店作りで共存して来たので、今、大変とまどっている現状である。
当社がこの10年で倍増したのは、全く無名であったからと言える。
出版社の営業が来ない、そのことは、出版社の言いなりにならず独自の仕入れができるのである。応接時間をとられないから1日のル−チンワ−クも出来る。無名の書店だから、高い配本ランクがない。言い替えれば、自分の店で売れない本を押しつけられることはない。仕入れは既刊本のロングセラ−ズを探すことになる。
自分の店に合わない本を押しつけられれば返品が高くなる、そんな意味では配本が低い方が良い。
新刊はそれほど大事とは思っていない。配本数を自分で決める姿勢、その方が個性が出る。
私はよく書店を見る。本を見る。どんな小さな書店であろうと、本棚と本を見、良い本を見つける。そんな意味では書店は250坪がほどほどで、それ以上はデッドスペ−スと思う。
10年前、さわや書店に入って驚いたことは、ハンディだらけだったことだ。さわや書店は厳しい状況だった。担当には仕入れ権限がなく、職場には派閥、いじめ、縄張があった。売場は出版社のフェアだらけ、自分の企画がない、出版社のいいなり仕入れ、本を読まない社員。
まずは新入社員に社員教育と業界の基礎知識から教え、3年間を普通の店にする努力をした。それが軌道に乗り、94年、隣地に児童書専門店「モモ」を開店した。1F40坪が児童書、2F40坪がコミックとグッズである。
本店は女性客が多いので「宝塚コ−ナ−」を作った。雑誌、書籍、CD、ビデオ、グッズ、カレンダーあらゆるものを集めた。又、書籍、雑誌、ビデオの融合政策をとった。文春のマイケルジョ−ダンを500本、1週間で売った。年に4回、他店で手がけていないものを取上げる。その売上げ目標数は毎回4桁である。そうして6,000円/坪売上が12,000円となり、これは盛岡市の市場を超えたものと言われた。
様々にハンデイがあったから出来たことと思う。みんなも現状に疑問を持っていた。それを一つ一つ解決していったことが、全員の一体感につながった。
「児童書専門店モモ」はさわやグル−プのコンセプトとして、子どもを大事にする店を作ろうと思ったものである。絵本、読み物、紙芝居を展示、絵本の作り方講座や読み聞かせを、1週間毎に開店のときから始めた。採算が取れなくても、「さわや」の良心として守って行きたいと思う。
小規模書店の良さは、ト−タルで店を見ることが出来る所と思う。部分のエキスパ−トには全体が見えない。全体が見え、部分の構築をすることが大切である。
店売でこれから必要なことは演出力である。
普段、書店で尻込みしているものを外に出すのだ。外とはほんとの外で、書店の奥に展示してある専門書、東京堂の事典などをワゴンで平積みにし、通りすがりの客に見せるのである。その意外性で客を引き付けるのである。 ワゴン販売は、今、どこででも売れているものではない。普段見られないものを見せるのである。
棚を固定してはいけない。本は生きている。本を1点入れ込むことは全体の組替えをすることである。書店はその本はいつもそこに置くという、楽な仕事をしているのである。
下手でもポップ、読んで是非お客に伝えたい本には自分のポップを書く。まだ読まない本のポップは出版社のポップで良い。ポップは乱立させない。今、「さわや」のメインは「集英社
がんばらない」。人の心の優しさが書かれ、誰も涙が出る。
自信を持って売る仕掛けが大事である。平積みの仕方も、お客様の正面に本が向く配慮が大切。5冊ずつ交互に積むならば、売れて行って反対になる、積み替えるなど手を加えねばならない。
売れない原因は内部にある。店長はマネ−ジメントだけではない。商品の方向を決め、店のスタンスを確立するのが店長である。そのためには本を読まねばならない。
私には、売りたい本、勝手に売れる本、売りたくない本がある。いらないものはいらない、選ぶことをしなくてはならない。
本店はポスレジを使っていない。スリップが店長に集まり、店長は書名をノ−トに記入する。そして棚担当にスリップを廻す。棚担当も書名をノ−トに書く。売れ筋の二重チェックである。
展示は、これはと思うものは店長判断で一番前に置く。書籍のなかに文庫も入る。この本はどこにあれば幸せか、それが展示の基本である。 (文責 原 淳子)
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| [参加者の声] |
■読者からみた書店論 「季刊・本とコンピュータ」編集デスク 河上 進氏
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講師プロフィール |
昭和42年(1967)、島根県出雲市生まれ。編集者。出版社勤務を経て、「本とコンピュータ」編集スタッフに。現在『季刊・本とコンピュータ』編集デスク。
出版流通、電子図書館、古書店、著作権などのテーマを追いかけている。共著『徹底活用「オンライン読書」の挑戦』(晶文社)。また、南陀楼綾繁
(なんだろうあやしげ)のペンネームで、ライターとしても活動。共著『ミニコミ魂』(晶文社)。インターネット上での新刊書店関係の連載に、『[本]のメルマガ』(http://page.freett.com/anjienji/)での「全点報告 この店で買った本」、往来堂書店(http://www.ohraido.com/)での「コレが売りたい!」がある。
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[講座ダイジェスト]
1、今の本屋を歩いて
私は雑誌の編集者として仕事で書店に行くことが多い。一読者として書店に求めたいものがある。読者と書店は立場が違うから噛み合わないこともある。私は頑張っている書店では一冊でも本を買うことにしている。それは「買うこと」でしかそういった書店を応援していることを示せないと思うからである。そして、その一冊の本を買った<雰囲気>というか<気分>を記録し、「本のメルマガ」で『本でナゴむ』という連載をしている。私が好きな書店を挙げると、阪急ブックファースト・渋谷店、リブロ・池袋店、神保町・東京堂書店、千駄木・往来堂書店、定有堂書店、京都・三月書房、書肆アクセス、INAXブックショップ(銀座)、プロジェット(渋谷)。私の家の近所にある創文堂書店は20坪ながら岩波の本ならその日に取ってこれるし、三宮のジュンク堂に行くと、どこに居ても音楽が大音量で流れ、人がたくさん居るのがあたりまえになっているなかで、そうではない空間があり、色んなアイディアが浮かぶ。
また、中野にあるタコシェという店は、マンガ・ミニコミ・インディーズCD・グッズ・色紙・古本など、ここにしか置いてない商品がたくさんあり、ホームページを見ると、ここで売れている本のベスト3が他の店とまったく違っていて面白い。下北沢のフィクショネスは取次ぎを通さない、絵本と詩だけの小さな専門店だがミニコミを積極的に置いており、そこがコミュニケーションの場になっている。それぞれの店の「得意技」を見られると客としては嬉しいのだ。特に小さな店では、店員が一人全部みていることが多く、商品を把握しており、地方誌やミニコミ、美術本を取り入れた商品の多様性で特化を図っている個性的な所が多い。こんなフェアははじめて見るというものが年に1回でもあればよい。書店はアイテムが豊富であるから、組み合わせができるのではないか。
2、新刊書店と古書店
古書店はどの店も違いがあり、いわば店主の顔が見える。オンライン上には200〜300の読者による古書店の紹介があるが、新刊書店のものはあまりみかけない。それは読者に魅力が伝わってないのである。しかし、新刊書店の専門化だけが手ではない。
では、どうすれば客が足を運んでくれる書店ができるのか。
3、タワーレコードに学ぶ
大型レコードショップのタワーレコードの商品展示は一見の価値がある。特にPOPは売れ線の最新作だけでなく、以前に出たモノにも自由に立てまくり、ミュージシャンが影響を受けたCDや関わったモノばかりを集めるといった、自分たちのPOP、自分たちのフェアで「売りたい」という意欲が伝わってくる。書店においても、手書きのPOPや今まで見たことのないフェアで本を読者の目に届けてほしい。
4、情報と人を組み合わせる
書店ならではの情報発信をどうしていくか。小さな書店ではサイトで本は売らず、情報発信に徹しているところが多い。例えば鳥取市の定有堂書店がそれである。それが集客につながっているようだ。わたしは往来堂書店のサイトで紹介した本を実際に往来堂書店の店頭に置くという企画をしているが、企画だけに終わらず定番商品になるものもある。
5、読者にとってありがたい書店
棚型→棚にきっちり手が入っていて、分類に雰囲気(文脈)がある
POP型→その書店のポイントがわかる
対話型→本の最前線にいるので情報発信がしやすく、メールなどで読者と対話できる
6、読者はどこにでもいる
読者は減ったのではなく、インターネットやミニコミ、フリーペーパーなど「本」の概念が広くなり、拡散しただけである。教養主義で本を読まなくなったのだ。書店はインターネットやオンライン書店に任せるところは任せて、読者を信じて、書店の店頭でしかできないことを提供していかなくてはならない。
(文責 林 一郎)
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| [参加者の声] |
≪2月16日≫
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研修第2日、午前9時、本の学校1階実習書店で、コーディネーター能勢 仁進行の朝礼に参加しました。朝礼の要点はつぎの項目であると指導されました。
●時間厳守で始まります
●出勤者1人であっても実施します
●司会は当番方式がよい。全員に参加意識が出ます
●メモを取ります
●朝礼時間は10分、長くでも15分です
●朝礼の目的は意識の統一です
●月1回程度、長時間朝礼
会社方針など全員の情報共有化が目的です
●朝礼内容は次のことです
昨日のこと
クレームがあれば具体的にその通りを伝え、その処置を連絡します
良いことがあれば、伝えます
売上を伝えます
今日のこと
商品情報を知らせます
業務連絡をします
来客予定を知らせます
月初には
当月目標を必ず伝えます。そして10日毎に達成状況を知らせます
商品予告、新刊予定を伝えます
●遅出出勤など参加できない人のための伝言ノート
朝礼当番が記入します
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■棚作り−演習と実際 さわや書店 店長 伊藤清彦氏
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[講座ダイジェスト]
棚は「目で見て、手で触って」―1日に何度もこれを繰り返さなければならない。そうすることが1日の棚の動き(=流れ)をつかむことにつながる。
平積みの基本は、5冊ずつ交互に積むこと。意識して積めば自分が何冊積んだかを覚えているので、パッと見た時にどれだけ売れたかがすぐに分かる。勿論、積みっぱなしにはしない。一番上に置いてあったものを一番下にして5冊ずつ積みなおす。1日に何度も繰り返す。午前中に何冊売れたのか、午後どれだけ動いたのかを手と目で知ることが大切で、売れる速さを知れば、発注のタイミングも見極められて、売り損じや過剰在庫を防ぐ。
お客様にとって、もっとも便利な「棚のつくり」とはどういうものなのかをまず考えることが必要。バラバラな主張ではダメで、「意志」を込めた「棚つくり」の工夫をしなければならない。同じテーマの雑誌と書籍と(関連したビデオなどある場合はそれらも)をすべて同じ棚で扱う「ブース型」の棚つくりならば、お客様をあちこち動き回らせることがなく,利便性がいい。(そのためには什器にも工夫が必要だ。POSレジの発想ではこれは難しい)
また、お客様にプラスαを買っていただく方法として、例えば「たまひよ」の育児雑誌とPHPの子育て文庫の並列販売等のミニフェアをする。ただし、これは雑誌の発売から1週間が限度である。
売り切れた商品については、「次回の重版日、商品入荷予定日」を告知したPOPを付けておけば、予約も来るし、また店に足を運んでもらうことが出来る。
棚つくりの上でのもう一つのポイントとして、どの分野にも必ず「核」となる出版社があることを知っておかなければならない。例えば車についてならば二玄社。その発行雑誌である「NAVI」を核にして、そこから派生させてコーナーづくりをしてゆく。中心となるべき出版社が抜けていてはコーナーが出来上がらない。
とにかく、POSではなく、実際に「目で見て、手で触って」を繰り返すことで1日の棚の流れを知る努力を怠ってはならない。触ることを繰り返せば棚に埃をためることもない。そして、常に「意志」を持って棚つくりに取り組む。バランスのとれた平積みをすること、各ジャンルの枠を越えて融合させた棚つくりを考える。
お客様にとって探しやすい棚つくりにしていくことが大切である。(文責 稲田忍)
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| [参加者の声] |
■バトルトーク 期待される書店を考える |
司 会 : 能勢 仁氏
パネリスト: 伊藤清彦氏
河上 進氏 |
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[講座ダイジェスト]
(能勢) 「第一講「元気な店頭活性術」で、文庫2週間で20%アップ実現で具体的に何をされたのか?」
(伊藤) 品揃えが版元営業のいいなりや大手偏重でバランスを崩していた。そこで文庫の版元別バランスを矯正した。まず時代に合った文庫を、朝日や筑摩文庫などで、「核」になるジャンルや著者の代表作も集めて平積みPOPコーナー化した結果。
その経緯を振返ると、午前中の来店客に海外文庫の問い合わせが多い→近くの本屋に無い→担当者が知らない→バランスを矯正しコーナー化→売れ出しお客が付き始める(顧客要望に合わす)→纏め買いが増え、5、6冊見繕ってくれ
という客も出始める→ポケット・ミステリーも加えコーナー融合→時代小説を独立コーナー化→日本ミステリーを独立化→ジャンル毎にコーナー独立化、となる。
(河上)「アップサイクルの最初の商品の発見法は?」
(伊藤)自分で面白い本を見つける事だ。棚を始終触っていれば本の汚れも判って掃除も行き届くし売れ行きの良い商品にも触れるし、デッドストックにも早く気付く。さらに本を読んでないと売りたい本も見つけられない。勿論取次の「週報」も参考にするが、版元の営業や編集から、また全国の書店からも入る。ゲラ原稿を読めることもアルが、これは長年かかって出来上がった人脈、情報網だ。(売れる売り場創りには)まずは「核」を知る事。例えばクルマコーナーなら二玄社の雑誌。海外モノなら早川や創元社のモノ、というように。
自分で読んで見つけるが、新聞広告・紹介や書評も読む。ミステリーなら週刊現代の「週間のベスト・エンターテイメント」はアタる。本当に読んで書評しているから。書評等を品揃えに取り入れるなら、例えばTVの「本パラ関口堂」紹介本をそのまま並べるのはダメ。自分で一味付けないとお客にアピールしない。「ダ・ビンチ」もあるし、雑誌の書評欄や解説目録を読み、解説者の代表作やその本に影響を与えた本などの流れにも気を配る。TV番組は「ステラ」で、映画は各誌情報誌でチェックする。
(河上)「インターネットでも書肆アクセスや鈴木書店のPDF、TRCの今日の新刊も特色あるがどうか?」
(伊藤)鈴木書店は当たらない。システムもメトロの場合他店の売上が取次の週報より2週間は早く判り、それはそれで良いが、POSデータはピンポイントだけで「流れ」が見えない。様々な商品情報と自分で読んで「大バケする商品」を見つけるのは楽しい。それを自分店でどこまで創れるか(何点冊売るか)で仕入も確保する。この積み重ねが版元への信用を創り、人脈や情報網を創る。また編集者は本屋にも行かず同じ企画をやってしまうように流通を知らないから、書店は編集者にもっとプレゼンすればよい。いま店頭でどんな企画がウケているか?その編集者の本が書店の棚でどのような位置にあるかなど。
甲川純一まとめ
担当者の読書と商品情報→商品構成の融合化→版元との交流→商品情報と仕入高度化→商品構成の高度融合化、というアップサイクル入るのは、担当者が自分で本を知ることだ。
(文責 甲川純一) |
| [参加者の声] |
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[講座ダイジェスト]
代表的なオンライン書店を取り上げ、読者及び編集者としての立場からそれぞれの特徴を説明する。
<アマゾン>
取次は大阪屋。送料無料。和書・洋書を扱っており、翻訳書を検索した場合その原書もヒットし、洋書の価格も安い。
<BK1>
TRC主体。プレゼンテーションの仕方に特長がある。ジャンル毎にサイトマネージャーを置き、細かくコーナー立てされている。200人のレビュアーによる書評が最大の魅力であり、またそれを続けられるかが企業として成立するかどうかのポイントである。
新刊先行予約に力を入れており、発売前に著者のインタビューが掲載されることもある。これは出版業界では異例のことで、出版社の協力がなければほぼ不可能に近い。また週1回のメールサービスも行っている。
<BOL>
ドイツの企業。購入金額3500円以上で送料無料。
<紀伊國屋書店>
会員制。書誌データベースとして優れている。店頭在庫(新宿本店・南店)と連動。
店舗を指定して検索し注文、店頭で受け取る。在庫の有無、どの棚に置いてあるかを確認してから店頭で本を買う、という利用方法もある。
<本やタウン>
日販主体。日販帳合の書店での受取が可能(その場合送料無料)。
<イーショッピングブックス>
トーハン主体。書店の他セブンイレブンでも受取可能。
<書肆アクセス>
地方小出版センターが主体ということもあり、普通の書店ではほとんど扱われていないものも多い。
総じて出版社のHPの方が遅れており、在庫・重版予定の状況まで分かる出版社はあまりない。小さな出版社の方が情報発信に積極的で細かくUPしている。
書誌データベースとして使うものは、書協、TRC、図書館、JCROSS、全国古書案内などがある。その他個人やグループによる書評サイト、作家・作品のサイトなど。WEB本の雑誌はオンライン書店と連動しており、紹介されている本をクリックすると、本やタウンのHPに表示されそこで購入できる。この場合のメリットとしてアクセス数の増加やバックマージンなどがあると思われる。
実店舗を持たないオンラインのみの書店の場合、生き残りのかぎを握るのは「送料」という部分での価格競争である。そこに限って言えば資金面での体力勝負であり、そろそろ淘汰の時期に来ているのかもしれない。店頭在庫と連動したオンライン検索サービスは、トラブルも多い(実際には在庫がないなど)が、うまく利用すれば、オンライン書店・リアル書店両方の長所を生かしたものが出来る。つまり在庫を抱えるリスクを逆にメリットとみなし、店頭に足を運んでもらうための手段の1つとしてオンラインによる情報提供を行う、という考え方である。
また小さい書店だと、本を売ることが主ではなく本の紹介・情報発信(コラム・メールマガジン)が主である場合が多い(往来堂書店、定有堂書店など)。企業としてのオンライン書店ではなく、あくまでも交流の場としてのサイトだ。しかし店主の顔が見える街の本屋という意味では、「読者が求める書店」を体現していると言える。
これからの書店は情報武装である。読者はこの分野で書店より先に行っている。出版社のホームページを利用することである。私が奨める数社といえば、在庫情報では小学館・角川書店。情報発信では晶文社・筑摩などで、無明舎はオンライン雑誌を使い毎月連載の記事を本にしている。
(文責 高木善祥)
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| [参加者の声] |
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講師プロフィール |
1933年千葉県生まれ。慶應義塾大学卒。
高校教諭を経て、多田屋書店常務取締役、平安堂取締役研修部長、アスキー取締役出版営業統括部長を歴任。現在、ノセ事務所代表取締役。
著書『出版業界がわかる本』『書店経営がわかる本』(山下出版) 『今、書店業を読む』(実務教育出版) 『書店』(教育出版) 『新・書店発想法』(出版ニュース社) 『書店の商品管理』『書店の社員教育』(日本書店大学) 他多数の著書がある。
書店と出版社での長い体験の上に、出版業界の豊富な知識をもち、全国各地で書店の経営指導や、書店人教育に活躍。
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[講座ダイジェスト]
今、新刊書店が減っている。新古書を含む古書店は年々増加傾向にあるものの、新刊書店は年間1000軒が廃業し、さらには将来6500軒あまりに淘汰されるのではないかと思われる。その背景として、例えば「コミックは新古書店で100円」「みんなでまわし読み」など小中学生の意識の変化、ライフスタイルの変化もある。では、書店の生き残る道とは、ひとつの方法として、個性化することである。それぞれの持ち味を発揮し棲み分けをする。または、スキマを狙う「ニッチ」の立場をとるか。
業界の販売数は10年前の48億冊から2割ダウン、書籍は3・4%の落ち率である。が、公共図書館の貸し出し冊数は13・14パーセント伸び、いい意味で読書市場は広がっているが、本に対する消費がシビアになってきている。
現在NO,1書店といえるのは、紀伊国屋である。が、販売量でいくと全国に8000軒以上あるセブンイレブン、513軒存在する新古書店ブックオフがNo,1かもしれない。
業界のデジタル化は、昨年よりネット販売が本格化し、今後インターネット書店は増加していくと思われるが、その将来は不透明である。が、既存の書店はネット書店の書誌データなど積極的に取り込んでいく姿勢が大切である。今やロス管理の時代、薄利多品仕入・少量販売の業種ゆえ、管理という面で書店のデジタル化は必要であり、経費的にも人件費・家賃につぐリース代の存在がある。
書店にはいろいろなミスマッチがある。POSレジに対して批判的な目は必要である。自動発注に頼ると返品は増加する。Cコードの設定において、POSデータをそのまま信用してはいけない。日々の販売においてもミスマッチが存在する。雑誌を一ヶ月面陳販売するのではなく、ローテーション陳列、購買行動の波をみて20日陳列の必要がある。ムックも積極的に返品していかないと棚はパンクする。いろいろ変わってきている。
スタッフリーダーは中間管理職として七意識を知らなければならない。給料はお客様からもらっているという気持ちで顧客を意識し、想像していかなければならない。ケチになり、電気はお客様のためにつけるもの、セロハンテープ、袋の原価をアルバイトにいたるまで徹底して原価を意識させること。チームワーク、集団意識でアイデアを出し合い、常に改善意識を持つこと。小売業はどんな方がこられても安全な売り場づくりの意識は必要である。ポスターひとつの貼り方にしても美意識をもち、美意識はクリンネスに繋がる。掃除をしすぎて潰れた店はない。みんなの上に立つ人間は常に人を育てる教育意識がなければならない。一生懸命にやっている人を誉め、励まし、フォローする姿勢が必要である。部下をチェックし、上司に報告として、自己チェックしていかなければならない。(文責 尾上今日子)
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