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現在、0歳と1歳の年子を育てている。
話には聞いていたけれど、ほんとうに育児というのは重労働だ。
まして年子は…「双子よりしんどいよ。」さんざん脅かされた言葉が身にしみた。
双子より…かどうかはわからないけれど、確かにしんどい。手こずって、しまいにはこちらが涙ぐんでしまう。
二人目を産んで、自分の時間がなくなるのは覚悟していた。
けれど、自身がしょっちゅう熱を出すようになったのは予定外で、閉口した。
もともと体力はあるほうで、めったに熱など出さなかったのだ。ショックだった。
なんだかこのチビふたりに、自分の時間も体力も根こそぎ奪われたようである。
そんなふうに思ってしまうと、限りなく憂鬱になった。
そんな私に差し出されたのが『ベイビーパッカーでいこう!』(おぐにあやこ著 日本評論社)である。著者は、育児休暇中にひとりで子ども(生後6ヶ月)を連れ、スペインまで旅してしまったというツワモノだ。(ちなみに「ベイビーパッカー」とは「バックパッカー」が子どもを背負った図、なんだとか)育児休暇中?ひとりで子連れ?スペイン?育休といえばずっと閉じこもって子育てをし、それが当然と思っていた私には、にわかに信じがたい言葉が並んでいる。
【「赤ちゃん連れだから」ってあきらめたり、自分を縛りつけたりする必要はないのだ。(中略)子どもに無理のないよう知恵を絞り、工夫し、やりたいことを追求する――そんな道は、きっとある。おまけに、赤ん坊連れだからこそ出会える街や、出会える人や出会える旅も ある。(本文212ページ)】
ああそうか、自分を縛り付けることはないんだ。「子どもに無理のないよう知恵を絞り」さえすれば。そして、「赤ん坊連れだからこそ」出会えるものがある、出来ることがあるのだ。目からかたいウロコがポロッと落ちた。
急に元気になって、ふたりのチビをベビーカーに積んで歩きまわった。
京都にも出かけた。調子にのって居酒屋にも行った。寝台車で東京にも行った。
実はいずれも「赤ちゃんなんか連れて」とマユをひそめる向きもあったのだが事前に「子どもに無理のないよう知恵を絞」ったつもりなので、気にしないことにしたのである。「わー、赤ちゃんが二人もいる!」 「大きいねえ。何ヶ月?あら、うちの孫といっしょ。」「あらかわいい。ちゃんと自分でカバン持って、えらいねえ。」どこに行っても、子どもをネタに未知のひとと話が弾んだ。子連れでなかったら、きっとこのひとたちとはすましてすれ違っていたに違いない。ほんとうに「赤ん坊連れだからこそ」出会えたひとたちだった。
また、そんな出会いをくれた旅は「赤ん坊連れだからこそ」できた旅だった。
旅から帰ればまた日常に追われる。しんどい。しかし、今できないことを数えたてるのはやめた。「赤ん坊連れだからこそ」出来ることを積み重ねようと思ったのだ。だからだろう、今はしんどさの中にも明るさがある。これも「赤ん坊連れだからこそ」出会えた1冊のおかげである。
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