今月のコラム
 “ダウン症者が書いた本”を来春出版 かもがわ出版 編集次長 
鶴岡淑子

 今、編集中のダウン症者の本についてぜひ語ってみたい。
『夢紡ぐ綾──母と娘のデュエット』がそのタイトル。
三年前に一册目『走り来れよ、吾娘よ──夢紡ぐダウン症児は女子大生』を出版したが、
ダウン症児が四年制の大学を卒業するのは日本でも初めての快挙。
その彼女・綾さんが誕生した時からいま、現在にいたるまでの成長をご両親が著わした本である。
ご両親は綾さんを「ゆっくりと“普通のこども”として育てていこう」と決め、娘の可能性を信じて愛情こめて育てられた。
 出版後、ダウン症の子どもをもつ人たちから「どういう子育てだったのか、どうして綾さんがこんなふうに発達してこられたのか」。
そんな驚きや疑問が飛び交い、全国のダウン症親の会などから講演の依頼が引きも切らない状態である。
 英語を話し、仏語を話し、図書館司書の資格をもつ綾さんは、今や「ダウン症児の希望の星」である。
“夢はいつかは果たせるもの”。そんな綾さんの思いは遂行された。
今年5月には、長年の夢であったパリ旅行を家族で果たし、そのパリ紀行文を地元の新聞にパソコンを駆使して掲載した。
童話『魔法のドロップ』を綾さんが英訳した『MAGIC  CANDY  DROP』の出版もそのひとつである。
 今回の本『夢紡ぐ綾』には、ダウン症の綾さん自身が長編のパリ紀行文を書き、母の甦子さんが前作を出版してからの
綾さんの成長ぶりを淡々と、しかし母親らしいきめの細かい筆致で書かれた。
──(障害をもっていても)人はいくつになっても場が与えられれば無限の可能性を発揮し、自ら成長していく──。
「人間ってやっぱり素晴らしい!」原稿を整理しながら、何度も涙する私である。とにかく読んで頂きたい。
来春早々上梓。  乞うご期待!