筑摩書房は1940年(昭和15年)に創業されましたが、61年目にして初めてミリオンセラーに恵まれました。百万部以上本が売れるというのは、ごく一部の大手出版社しか出来ないことと、半ばあきらめの境地に会社全体としても陥っていたというのが正直なところです。昨年11月に発売した『金持ち父さん
貧乏父さん』が今年1月に50万部を越えた時点でも、私は70万部か80万部まで行けば上出来と思っていたくらいでした。ところが50万部にも到達していない今年のある新年会の席上、草思社の加瀬社長さんから開口一番「『金持ち父さん
貧乏父さん』は百万部以上売れますよ」と言われて大変ビックリしたのですが、心強く思いながらもお世辞も入ったお言葉と受け止めていました。しかしベストセラーを数多く出された会社のトップともなると、他社の本の力を一目で見抜いてしまうほどの眼力があることが、数ヶ月後になって事実によって証明され、心底脱帽した次第です。
小社においては2年前に40万部に到達した『老人力』がこれまでの最高記録でしたが、この本を売り伸ばすに当たって、草思社の小林副社長(当時)さんから、広告のやり方、重版の出し方等ありとあらゆるノウハウを教えていただき、いい結果が出せました。今回はその応用問題を解いているようなものでしたが、こうした親切な出版仲間に恵まれて小社のミリオンセラーは実現したのでした。
『老人力』を売り伸ばした当時は、書店さんからポスデータを毎日頂戴できるようになっており、得られたデータをコンピューターで分析して適正重版部数を割り出せるようになったため、5万部あるいは10万部という単位で重版を発注し、店頭品切れをあまり起こさずいい仕上がりにすることができました。今回もその延長線上で仕事ができたのですが、『老人力』のときに選られたデータがあったために、新聞広告を出すに当たっても、どこの新聞が有効か分かっていたので、効率のいい仕事ができたように思います。
出版不況の中でもいい企画を開発すれば売り伸ばしが可能だということを、全社員が理解できたことが今回何よりの収穫でした。従来からの全集・文庫・新書・単行本等の企画活動についても、不況の中でも様々な工夫をしながら、少しでも多くの読者に認めてもらえるような本を提供し続けたいと決意を新たにしているところです。
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