| 第10回 出版業界人研修 基本教育講座 | |
| 15日(火) | |
| 実用書の販売ポイント/駒橋 正徳(こまはし まさのり) トーハン書籍営業部 | |
実用書販売の傾向と対策。 実用書マーケットの現状は、個人生活の充実や情報化が急速に進展、高齢化も進んでいるのことを背景にマーケットが形成されている。したがって、来店客すべてがターゲットになり、職業や年齢性別を問うものではない。買う場合は目的を持って比較しつつ変われる。商品もライフスタイルの多様化・流行の変化でも多様化・専門化している。 実用書の新刊発行は5年連続増えてきたが03年は減数気味になり04年は横ばいと予測されている。書店では売上シェアの約10%を占めている。 実用書の売上動向は、料理書・美容・健康関連を中心に、TV紹介や売れ筋商品に追随していく傾向が強い。 商品の傾向は、基本を幅広く押えたもの、目的や料理の素材に特化したもの、広く浅くか、狭く深くかの分化傾向が強い。 書店ではこれらを把握した上で、来店客層の把握をし、重点ジャンルを明確にして、そのジャンルを充実させることが、顧客満足の棚つくりにつながる。販売の重点は、月別販売のポイントを理解して売場別に年間スケジュールプランをつくり、それを元に月別に売場のポイントをチェックしていく。例えば7月の場合、アウトドア・登山を中心ジャンルに、5月か6月頃から展開を始め、スペースを取ってPOPやボードを用意し雰囲気を盛り上げる、といったことが考えられる。またチェック項目を出し点検維持も必要になる。 ジャンル別販売のポイントは、32のジャンル別ベスト20などを活用し売行き良好書の欠本補充や在庫チェックをすること。またジャンル別ベスト20の傾向を分析し、自店の客層にあわせて在庫チェックし、補充やコーナー展開をなければ機会損失を発生させかねない。ただ客層に合わないものは置く必要は無い。 その上で陳列や飾り付けを行っていく。参考として、書店での陳列マニュアルを付けたので、利用して販売に生かせてほしい。 |
*講師プロフィール* 1974年横浜市生まれ。武蔵大学経済学部卒業後、1999年(株)トーハン入社。専門書センター、教科書学参課を経て、現在、実用書・ゲーム攻略本の配本や季節ごとの店頭フェアの企画・提案に携わる。 ![]() |
| 文庫・新書の管理・売場対策/森 年弘(もり としひろ) トーハン書籍営業部 | |
文庫編 文庫の市場規模と概況 落ち込んではいるが書籍全体から見ると文庫の落ち幅は少ない。これはTV関連の期間商品が健闘した結果といえる。返品率は微改善、点数は6373点で10年間に比べて1,5倍に増加し、1点あたりの部数は17000部と減少している。 文庫販売の基本(文庫全体の55%を占める一般文庫を中心に考える) A、棚管理を考える。 6〜70%が既刊なのでこれをきっちり管理する方法は、各出版社の一覧注文票で商品の強弱を知り在庫のチェックし発注。(売れ筋を置くことも大事だが、死に筋を置かないことも重要。)各出版社・シリーズごとの売上にあった棚構成にする方がロスは少ない。次に自店の棚構成を売上構成や全国平均の棚構成とも比較しロスを防ぐ構成に移行させる。 B,面陳列と平台を考える 棚陳列が守りなら、面陳列は攻め系の陳列になる。面陳列は陳列全体のアクセントになり品切れ防止にもなる。新刊の平積みだけに終始せず、書店独自で商品を発掘し仕掛け販売にも使う。この場合は手書きPOPが不可欠。 C,著者別陳列について 慣れない人でもやりやすいが、見栄えが悪く管理上のミスを起こしやすいというデメリットが考えられる。 D,その他の文庫販売のポイント コミック文庫の販売ポイントは周りの棚バランスもあるから、コミックに隣接して並べる。ティーンズ文庫は人気作家に読者につく傾向が高く、またTV・アニメ化された文庫は良く売れる。雑学文庫は販売占有率は既刊が圧倒的に既刊が多いが、棚陳列にあまり向いておらず表紙か面陳やテーマ別コーナーや仕掛け販売に向く。 最後にTV化映画化の文庫の品切れ防止には十分気をつけることは重要。 新書編 新書市場の概況 新刊発行部数は推定で8.5%減少の4475万冊、点数3.8%減の3378点、1点当たり部数5%減の13000部で、ひところの創刊ラッシュは落ち着いた。 ノンフィクション新書では、超ヒット『バカの壁』を除くと実績は90%、ノベルズでは一部のベストセラー作家が市場を支えている状況で点数・部数とも落ち込みが激しい。 新書販売のポイント 教養新書は、年齢層の高い男性の購買が7割を占め、まとめ買いも多いので、テーマ別陳列が理想的。管理が難しいが衝動買いも呼び購買単価も上がる。次に、売行きベスト銘柄の欠本チェック、売上実績と在庫(棚段数)とのバランスをとること。 新書ノベルズは、ある程度の知識がないと棚管理は難しい。販売のポイントは、著者別陳列を取り入れ、著者別棚プレートを仕込む。さらに売れ筋商品の欠本チェックが大切になる。 |
*講師プロフィール* 1970年大阪府堺市生まれ。同志社大学経済学部卒業。1994年(株)トーハン入社。書籍営業部一般書課に配属となる。その後、書籍仕入課(一般書・文庫・新書担当)を経て、現在は書籍PBグループにて文庫・新書関連の配本、増売提案等を担当。 ![]() |
| コミックの管理・売場対策/木村 玲子(きむら れいこ) トーハンコミック営業部 | |
コミック販売のプロになろう! コミックは他のどのジャンルよりもやりやすい、その行為を楽しむことが出来る人で、売上を挙げている人がプロ。 コミック市場の現状 新刊点数は増加し、返品率は他のジャンルより低いが増加傾向にある。コミック本誌が不振、廉価版コミックスは拡大、ヒット策は出にくく小粒化。実稼動点数は2万4千〜3万タイトルという現状。 コミック販売の基本は、店頭は本と人の出会いの場であり、パックで中身が確認できないと販売の機械損失になっていないか?いかに売るための細かいメンテナンスが必要になる。売場つくりは、「だれに」「なにを」「どうやって」売るか?を明確にして、ついで買いを誘うかが着眼のポイントになる。コミックスを読者別・形態別・ジャンル別に細かく分けて商品の特徴を知る。その上で売場つくりをする。 棚作り・品揃えのコツは、ライフサイクルを元にした優先順位を考えてみる。連載中か終了か?完結か未完結か?を基準に、連載中・未完が品揃えの最優先、というように優先順位をつけ見ていく。売場チェックポイントの視点は、お客様にとってわかりやすいか?お店の特徴を出しているか?アピールのある売場になっているか?ついで買いを誘う仕掛けはあるか?などを中心に、チェック表をつくり、点検し改善する。 コミックスの配本を増やすには、売れる冊数だけこまめに発注し、過剰注文による返品は極力避けること。この二点を両立しつづけることで良好商品の配本は着実に増える。 新刊〜平台づくりのコツは、ボリューム感を出す、人気新刊だけでなく売りたいものを置く、新刊発売日など計画的に売場つくり、ただ並べるのではなく意味のある並べ方を、普段から新人作家に着目し青田買い的アピール、平台はわざと凸凹させてアピールするなどがある。また、平台ではフェアもやってみる。フェア成功のポイントは、期間限定で告知しつつ、POPや飾り付け、読ませる・手に取らせる工夫を、無理な積み上げはしないこと。 既刊本販売の売り伸ばし方法は、同じ作家の既刊と新刊を並列販売、POPでアピール、同内容の作品を並列販売、コミック売場以外にも陳列などが考えられる。既刊の補充注文は、重版日の確認し、一覧表注文書活用で品切れ防止、重版日以前には版元に発注しない、出版社はおおよそ調整出荷する場合が多い。オンライン発注や短冊補充注文など自店のもつ注文方法の特徴を知ったうえで適時使い分け、管理ノートなどでダブり注文を防いだり管理して効率的仕入れに心がける。 特装版コミックは「初回限定」「他では売っていない」という限定感がマニア心をくすぐり点数も増加中、事前予約獲得して確実に売ると同時に、発売されれば通常版との並列販売をする。ただ買切であったりマルチメディア扱いであったりと普通とは違う手法には注意して。販売面で、もう1冊買ってもらうための仕掛け販売も行いたい。仕掛け販売には、店頭販売や、本誌との並列販売、同じ内容などでのフェア実施、などがある。 返品はなぜいけないのか?理由は次回の配本が減る、また商品管理が難しくなる、無駄な業務が増える、資金面で不利になるなど。そこで、売れたものをそのまま発注するといった無駄な発注を行わぬよう、また、しいれたものは売り切る努力などが必要になる。 売るために、出版社の拡材や本誌、一覧表注文書、取次の週報、新刊案内、アニメ雑誌やテレビ雑誌などからヒントを得て、各種カタログや作家プレートなど売るためのツールを活用して努力が必要。 最後に、自店の状況を良く知って、売りたい作品を売らなくっちゃ!(プロじゃない!) |
*講師プロフィール* 1991年東京出版販売(株)(現潟gーハン)に入社。配本・仕入・企画業務のほか、書店様のコミック勉強会への出席を通じて、入社以来コミックに携わり現在コミックグループアシスタントマネージャー。各地の書店様訪問をして「読者への売り方」と「担当者の売る楽しみ」を持てる店頭を創造できないかが、日々のテーマ。 ![]() |
| ビジネス書の管理・売場対策/早川 正孝(はやかわ まさたか) トーハン書籍営業部 | |
03年の取次ルートを経由した出版物の推定販売金額は前年比3.6%減の2兆2278億円、うち書籍は4.6%減の9056億円、雑誌が2.9%減の1兆3222億円である。 ビジネス書とは、経営・経済・法律などの実務的な内容を特化させ、読みやすくしたモノが派生したジャンルと考えられる。ジャンルとしては時事テーマ・雑学・教養書・実務書・語学書・心理学に近いモノなどがあり、読者層はビジネスマン・学生・主婦層・高齢者などが考えられる。 そのビジネス書の出版状況は03年で5053点580万冊平均単価は1679円で年々少しづつ増えている。03年の売れ筋は、いかにして「お金」を得るか、ビジネススキルを高めて質の高い仕事をこなすか、不況下での生き残り術を模索するモノで、表現が噛み砕かれ、見やすい作りのものであり、一般書・実用書系の出版社が好調。 実用書の購買層は3つの層としてとらえられる。アカデミックレベルで学問の参考にする層、プロフェッショナブルレベルでメーカーの技術者や経営者、コンサルティング会社の社員などハイレベルな内容を求める層、一般レベルで、一般のビジネスマン中心で入門的な内容や日常業務に役立つ実務書を求める層、である。 企業や業界、時事読み物・教養一般、自己啓発所などビジネス読み物は平台での販売が適しており、旬のキーワードで括れば効果的。またビジネス実務書を12のジャンルに分け図のように棚構成できる。 棚のメンテナンスは、欠本チェックの実施、新刊専用棚をつくる、平台と棚の関連付け、読者を育てる棚構成を心がける。 効果的な販売方法として、仕掛け販売、他のジャンルとの並列販売、自店の周辺状況を把握した品揃え、年間スケジュールを立ててフェアを展開していく、旬のコーナーを作る、などが考えられる。これらを自店の状況に応じて実施すると良い。 参考に、年間販売の主要なキーワードを例示すると、 4月=人事・財務・仕事の技術・コーチング・語学など 5月=人間関係・仕事の技術など 6月=マネープラン株関連書、仕事のパソコン 7月=経営書、ビジネス雑学、 8月=ビジネス雑学 9月=ベストセラー上半期、決算 10月=資格試験 11月=経済予測モノ、年末調整、確定申告 12月=仕事術、スピーチ・話し方、販売術・接客など 1月=住宅・マイホーム、各種就職本 2月=決算、目標管理 3月=新入社員、ビジネスマナーなど |
*講師プロフィール* 1980年東京出版販売(株)(現潟gーハン)へ入社。名古屋支店にてビジネス書、理工書、コンピュータ書の在庫管理を約7年担当し、1988年より愛知県の書店営業担当となる。1999年に本社に転勤となり特販部で3年営業担当をし、2年前より書籍営業部専門書グループで、ビジネス書、理工書、コンピュータ書分野の新刊及び常備、各種フェア企画・提案に携わる。 ![]() |