ドイツ書籍業学校
 ドイツの出版業界人養成は、かってのマイスタ−制度を根幹とした職能教育である。その中核が書籍業者養成機関の書籍業学校である。
 ドイツ、フランクフルト・アムマインの書籍業学校は、学生寮が3棟あり、160人寄宿できるという。ドイツの産業教育というのは、書籍業だけでなく国を挙げての制度であるという基本理解が必要である。
 おそらくドイツの出版物流はもっとも優れているのではないか。注文品の95%が翌日届き、雑誌は同時発売、再販制度は読者に当然のことと享受出来ているという。それは歴史の長い産業教育の所以と思われる。出版と物流が一つの産業として総合的にとらえられ、無駄な投資を省き合理的な姿で実現したのではないか。
 教育機関は未来への投資としている。義務教育を終え職業に就くものが多い。1930年代に産業教育が教育制度に位置づけられ、企業で働きながら、3年間の職業訓練期間、毎週職業学校に通う。職業訓練のために職業組合が学校を独自につくっているものもある。これを職業教育二重システム(デュアルシステム)と呼ばれている。
 ドイツ書籍業学校もその一つで、内容にはいろいろ特色がある。3年間の職業訓練学校課程に相当するコ−ス、これを2年間に9週間を2回、学生寮に入り研修を受ける。ドイツ連邦各州に通用する独自な職業学校修了資格取得コ−ス、4週間の企業間専門教育コ−ス、このほか出版人コ−ス、書籍業の管理者教育であるドイツ書籍業専門学校、各種ゼミナ−ルである。主なものは、職業訓練学校に替わる書籍業組合独自の、2年間に9週間を2回やるというコ−スが基本になっていると思われる。
 内容は、書店経営論、小売りの知識、広告とセ−ルス促進、消費心理学、設立者と出版法、書籍制作、地図学、児童・青少年向図書、書籍取次販売、古書、メディア論、店舗設計、書籍流通市場調査、出版代理業、書籍輸出入、書店業における職業教育、経済学一般、財務、マ−ケッティング、商業算術、簿記、情報処理、ドイツ及び外国文学、学問論と法律学、政治学、倫理学、人事制度、原稿審査者、などと総合的である。また作家の自作朗読会、出版記念会、講演、映画上映会、ディスカッションがプログラムを補う。